2026年8月15日
2026年08月15日
【この日に思うこと】
明治生まれの祖父は戦死したのでどんな人か僕は知らない。ミッドウェー海戦で沈んだらしい。
祖母宅の仏壇にある複写の遺影写真はボンヤリした影のような感じで本当に幽霊みたいだと子供心に思った。
数年前、母親が90歳で亡くなった。僕世代の親としては友達のお母さんより一回り以上離れて、昭和ヒトケタ生まれだった。
老人ホームから引き取った荷物を整理していると布張りの古いアルバムが何冊かあった。
祖父は当時としてもお金のかかる写真を趣味にしていて、かつては家に暗室もこしらえていたらしい。赤い光の中で印画紙から像が浮かびあがる様子が母親の原風景の1つらしかった。
祖父が手焼きしたと思われるプリントは、結婚間もない祖母とツーショット自撮りをしているものが多く、幽霊みたいな仏壇の遺影とは違って、祖父はにこやかに笑っていた。こんな顔をしていたのか・・・。
その中に、明らかに画質が違う、たぶん大判カメラで撮影したと思しき集合写真があった。写真館から出張で撮影させたものらしく、カメラマンの名前も書いてあった。

それは祖父が出征する時のものらしかった。前列で軍服を着て笑っているのが祖父。その左横に祖母。さらにその横がたぶん9歳ごろの僕の母で、まだ幼いおばさんたちもいる。そのほかの人は誰だか全くわからない。
祖父以外は誰も笑わず険しい表情をしていて、きっと祖父も必死で明るさを振りまいたのだろうなと感じる。招集され 、これがもう帰ってこない最後の写真になるのだと、みんな分かっていたのだろう。
それでも脈々と命は受け継がれ、どこかで誰かが生まれてくるのだ。