「旅の始まりは忘れてしまうけど」を振り返って

2025年09月20日

2025年9月3日(水)~9月14日(日)
北浜 BE= Lab & Galleryにて開催

僕が26年前に初めてHOLGAで撮った日の写真だけから選んで個展をするというアイデアは2年ほど前から温めていたもので、今回BE=様から個展の機会を頂戴して実現することができました。

写真を撮ったのは昔のことですが、これまで展示した機会がほとんどない写真ばかり。スキャンや色調整は今の自分の感覚や技術によるもので、「古いけど新作」という時間的距離を解凍して壁にぶつける感じを表すため、ふだんなら使わない光沢紙に余白をたっぷりとった瑞々しいプリントをそのまま壁に貼る、という展示スタイルにしました。

HOLGAで撮れば何でも懐かしい感じで写る・・・そう考えて撮った26年前の「当たり前の風景」は時相応に古くなり、ノスタルジィだけでは片づけられない「時間と写真」の関係性を纏うことができたと思います。

その時、その時の「今」を撮ったからこそ写真は「まっとうに」古くなることができ、時間の流れで変わるものと変わらないものが見分けられるようになるのです。

個展をするために写真を撮るのではなく、撮った写真が個展になるというのが僕の持論の1つですが、まさに初めての試し撮りにすぎなかった2本のネガに「個展」という役割を見つけることができ、昨年末にドン底まで落ちた精神の中で問うた「創作の無力さと偉大さ」について改めて考える機会となりました。

自分を死なせるのも生かし続けるのも自分しだい。過去から積み上げた創作の山が這い上がる土台になりました。やはり偉大なのです。

このように、今回の個展では「写真で生きていく」という人生の旅の始まりをお見せすることが出来ました。そして来月はその「もっとも新しい旅」をお見せいたします。そのお話しはまた次の記事で書きたいと思います。

人生は続く。