イーラ11を終えて

2023年06月25日

去る5月6日にイーラ11が無事に終了しました。ご来場頂いた皆様、ご感想をくださった皆様、まことにありがとうございます。そしてギャラリーオーナーの兒嶌さんも毎回の熱烈サポートありがとうございます!!

少し時間が経ちましたが振り返りを綴ってみたいと思います。

今回はこれまでのイーラの中でも特別なreelになりました。イーラを始めた時にまず思ったのは「この10年間のどこかで高齢の母親の死が必ず来るだろう」ということ。それがとうとうやってきたreelになりましたが、イーラ10の時点ですでに母親の容態は悪くなっていたので覚悟はできていました。

僕が高校を卒業してすぐに脳梗塞で倒れ寝たきり状態になった母親。その在宅介護をつい最近までやっていました。僕が生きてきた時間の半分以上を費やし、僕の様々な自由や夢を奪ってきた事がとうとう終わったわけです。誰にとっても親の死と言うのは大きな出来事ですが、僕にとってはそれ以上に特別な出来事でした。

そこから今度は自分の番です。以前から予定していた腎臓の手術にともなう入院です。ギャラリーのことなどあらかじめ休廊期間を設けるなどして対応していましたが、術後の経過が悪くあわや敗血症寸前となり予定を大幅にオーバーする入院期間になってしまいました。別に大した手術でもなかったのに自分自身の判断ミスが重なっていたらあっけなく死んでいたかもしれません。色々と考えさせられることが多かったです。

そして次は母親の遺骨の散骨です。生前に話し合っていて希望があった場所で海洋散骨を行いました。これもやってみなければ知らなかったような様々な取り決めがあり人生経験の1つとなりました。僕と妻の2人だけで行なうひっそりしたセレモニーでしたが想い描いた通りに執り行うことが出来て本当によかったです。

親子の関係としては人に自慢できるような良い話など何一つなく、どちらかというと悲惨な子供時代を過ごした問題だらけの家庭でしたが、これでようやく母親のことが許せるようになった気がします。


という感じでかなりの激動を味わった濃すぎる半年間。母親が亡くなった時点で時系列に写真を並べる展示にしようと決めていたので撮影自体は淡々と進めていくことが出来ました。撮影するという事が様々な局面を乗り越えるための助けとなり、これが全部個展になるんだと思うことでくじけずに進むことが出来たのだと思います。

展示方法もこれまでのように3つのサイズを展開し波打つように並べるのはやめて、すべて同じサイズでプリントをつくり、横一列でまっすぐ並べました。今までとは違う異質なイーラです。

ドキュメンタリー的、という感想を多く頂きました。もちろん親しい方は常日頃からの僕の情報があるからそう感じることになりますが、そうではないような方からも同じ反応があったので、ある種、映像作品のような気配を感じてもらえたのだと思います。

展示が出来上がって壁面にプリントを並べた時、予定より早く、ここでイーラを終わらせたらキレイなのにな~・・と思うこともありました。イーラの最終回用に以前から考えていた文章である「いつか星になる」を写真の流れ的に最後のキャプションとして使うしかなかったせいもありますが、ここまでやったら次はなにができるんだろうかと、今はややボーゼンしています。

でも、イーラ終了予定の2028年まで、このまま年2回ずつ個展をしていくなら22回目が最終回となる算段になります。11回目が終わったのでちょうど半分が終了したわけです。次の12回目から新しいイーラを編んでいけばいいのかなと、そう思いながら撮影に取り掛かっています。イーラ12がどうなるか、またそのうち記事を書きたいと思います。


以下はギャラリーライムライトさんでの関連動画です

以下はアビィチャンネルでの関連動画です。



遺骨と一緒に海へ放った沢山の花びらが波間にプカプカと浮かんだり沈んだりしながら遠くへ漂って消えていく様子が、星空のまたたきのように見えて、美しかったです。もう金輪際、誰の散骨もしたくないですけど、忘れられない風景になりました。


人生は続く。

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