「いくつかの、季節の中で」を振り返って

2023年12月29日

吹雪大樹写真展「いくつかの、季節の中で」
2023年12月6日(水)~12月17日(日)
和歌山市・かまどの下の灰までgallery

去る12月17日をもちまして、個展「いくつかの、季節の中で」が無事に終了いたしました!会期中ご覧くださったみなさま、写真集やプリントをお買い上げ頂いた皆様、そして、かま下gallery代表メンバーの井上さん・岩瀬さん、まことにありがとうございました~!

終了から10日間少々が経ち、もうすでにちょっと前の事のような、まだ開催中の余韻が色濃く残っているような、不思議な心持ちの時期といった感じでこの記事を書いています。

今年から駅チカに移転し、古民家一棟まるごとリノベーションという気合の入った展開を見せるかま下galleryさんに2年連続で個展オファーを頂きました。

しかも僕のメインカメラであるHOLGAの作品としては4年ぶり、再構成ではなく完全新作としては7年ぶりという内容。2023年の締めくくりにふさわしい個展にすべく奮闘しました。

イーラ12や木津川アートの準備が忙しすぎて、新装オープン後の現地下見が全くできない中、展示構成をどうするかを考えるのが相当に大変でした。特に新かま下galleryは真っ黒な1階と真っ白な2階という2フロア構成で、作り込みもかなり出来そうな空間・・・

インスタにアップされている毎週の展示風景写真や壁面見取り図とにらめっこしつつアレコレと考えた展示プランがうまくハマるかどうかが不安でしたが、搬入当日に1階の設営を終えた時点で「この勝負、獲った !」と思いました。

雑踏からギャラリーに入ってきて、頭をクールダウンさせ作品世界に入り込むための導入部として1階を使用し、そこから階段を上がると眩しいぐらい真っ白な2階の空間でメインの写真が並ぶというプランを、多くの方に楽しんでもらえて嬉しいです。

2階の展示物は僕の基本サイズ・六つ切りスクエアのハレパネ仕上げ。断面を黒く塗り上げて、写真のフチを覆うボンヤリした黒枠となじませました。1階1枚、2階39枚、合計40枚の展示です。

今回、沢山の方から「写真の内容とは直接関係のないはずの、自分自身の懐かしい記憶の中の光景を何故か思い出した」という感想を頂きました。こういった反応は、僕の作品づくりをしている中で1つの理想形とも言える結果なので、本当に嬉しいです。

また、7年ぶりとなるHOLGA写真集もたくさんの方にお買い上げいただき誠にありがとうございました。先日、店頭売り切れ後の増刷ぶんも発送し、徐々に感想が届いているところです。SNSですぐに届く感想も嬉しいですが、こういった時間差で届く感想も良いものです。

撮影11年間、構想7年間をかけただけのことはある作品が出来上がってよかったですが、こんなに時間が掛かったのは、ずっとまとめきれなかった作品ということでもあります。写真構成だけについても展示方法やカラーかモノクロか混在か、9月頃までずっと迷いの中で考え続けていました。

もちろん他の大きな展示や個展も抱えながらなので、いちばん頑張るべきところが最も手薄になっているのでは・・・と苦しい時期もあり、さらに昨今の中判フィルムを取り巻く制作環境の悪化もあり、HOLGAで完全新作の個展は今回が最後になるだろうとも思っていました。

しかし今、結果として、自分の心の中にある一番高い山のそのてっぺんに立っているという気持ちがあります。 2012年発表の個展「時の流れのどこかで」を超えるモノを作るのは無理だろうと思っていたあの山も少しだけ超えたと感じています。

様々なプレッシャーの末にこの作品が出来上がった時、これが遺作になっても悔いは無いような、いやもうむしろ、これが遺作だったらすごくよかったのにとすら思いましたが、そんなことではダメだとハッキリ思います。

死ぬように生きていたくはありません。これが僕の作品です。そして、その作品が僕です

人生は続く。

でも来年の個展は2回ぐらいにしたいです

fubuki taiju all rights reserved.
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう!